衛生管理者の資格を取って日々、巡視している話
大学職員は事務職のイメージが強かったが、学内を歩き回る仕事もあります。
衛生管理者の巡視が代表的な仕事の1つです。
衛生管理者とは、事業所の衛生状況を管理する国家資格で、50人以上が勤務する事業所には衛生管理者を選任しなければならないと定められています。
僕も3年前に衛生管理者の資格を取得しました。
衛生管理者の主な仕事が巡視です。
事業所内(大学内)を回って衛生的に問題がないかを見て回る仕事です。
具体的には、避難経路に大型の実験器具が置いてあっていざという時に危険である、危険物を使用している実験室なので定期的に換気するなどということを指摘します。
相手は、先生や大学院生なので、話はしやすいですが、事情があって改善できないということもしばしばです。
改善には老朽化した大学校舎の改善が必要と言われてしまうことも。
お互い顔見知りの関係であるため、極端な追求はせず、なあなあで仕事が終わることも。
巡視は1週間に1回以上行うことが定められており、職員によっては面倒くさいと思っている人も多いです。
僕はデスクワークからの気分転換になるため、結構好きな仕事です。
巡視で回った先でコミュニケーションをとれるのも楽しいです。
大学職員では、取得している人が多い資格なので若いうちにとっておくといいかもしれませんね。
テキストを2冊くらい買って、過去問中心の独学で取得できると思いますよ。
大学のGPAを気にしたのは大学1年生が最後だった
大学はテストが行われる週に入ると、多少緊張感がでる。
授業開始ギリギリの電車に乗って登校してきた学生は、電車を降りるとダッシュで教室に向かう。
テスト期間じゃなくても、真面目な学生はダッシュするけど、ダッシュする人の割合が一気に増えるのがテストの週。
テストに遅れてもだいたい受けることができるが、初めての経験である1年生の形相はこわばっている。
大学の成績はGPAという形で学生を評価することになる。
各科目の評価が5段階で評価されて、それの平均値がGPA。
・単位不可の科目は0として分母に入れる
・卒業要件単位に入らない科目は分母・分子に入れない
このように大学によって様々なルールがあるけれど、基本的には高いほうが良くて、低いとバツが悪い。
GPAは3.0がひとつの目安で、3.0を越えると優秀な学生と判断してもらえる。
思えば、GPAは就職活動ではなんの約にも立たなかったけど、大学1年生の僕はGPAを上げることに力を入れていた。
GPAの高さが大学2年時にする、コース選択の際に影響するからだ。
人文学部のコース選択は、社会学・心理学・歴史学・文学・哲学と幅が広い。
一番人気の社会学専攻はテストの点数で選考されるが、他の選考はGPAが高い順に定員まで希望の選考に進める。
やはり哲学や歴史学の専攻だと就職で不利そうなので、当時はなかなか頑張っていた。
無事希望の人類学専攻に進むことができたが、それ以降あまりGPAは気にしなくなってしまった。
今の学生さんには、目先の進路やゼミ選びで有利になるというだけでなく、楽しんで勉強してもらいたいと思う。
大学職員は配属先によって取得すべき資格が異なる
大学職員は比較的、楽な仕事ですが、資格取得は積極的に行っていると思います。
配属先によって、取得している資格がことなります。
配属先は大きく分けて、人事・総務系、会計系、学務・教務系、インフラ系です。
総務・人事系
人員配置や規程整備、会議などのスケジューリングの仕事をしています。
人事・総務系では、最終的には弁護士や社会保険労務士に判断を委ねることになるんですが、自らで知識を獲得することも必要です。
人事・総務系の仕事としては衛生管理者が有名です。職場の巡視や労働環境の指導を行います。
2−3ヶ月程度で取得できる比較的簡単な資格で、総務・人事系の職員で取得している人が多いです。
僕も衛生管理者資格を取得しました。
職場の指示で講習に参加しましたが、独学でも良かったと思っています。
衛生管理者試験は独学で合格可能!裏ワザの勉強方法も紹介|衛生管理者.com
会計系
会計系はどこの会社でも一緒ですね。簿記です。
配属と同時に簿記資格の取得を推奨されます。
ただ、在庫管理や工業的な知識はほぼ不要なので、簿記3級で十分だと考えられています。
学務・教務系
学務系はコミュニケーション能力が重要な部署です。
外国人留学生が増えている、昨今ではTOEIC・TOEFLを受講することとされています。
TOEICでいうと、ひとまず600点超えは必要です。
留学生担当部署には900点超え、帰国子女がうじゃうじゃいます。
【600点超え】TOEIC初心者におすすめの勉強法|初めては何から始める?|ミツカル英会話
インフラ系
インフラ系とは、施設部、ITシステム部などです。
大学内のインフラを取り扱っています。専門的な部分は業者や行政に任せて運営を行っていますが、大学内での担当部署として設けられています。
インフラ系は部署に応じて、電気系でしたら電気工事士、情報系でしたらITパスポートなど専門資格を取得して、知識を身に着けます。
事前に資格取得しておけば強い
どの部署にいっても、ある程度の資格取得は求められます。
事前に必要資格を取得していれば、その分野で仕事をアピールになりますね。
私立大学職員は年収1000万円を越えるらしい
僕には関係のない話ですが、私立大学職員は「高給取り」として話題になっているようです。
噂によると、有名私立大学は年収1000万円を30歳で越えるらしい。
30歳で1000万円超えなんて、超激務の業界と総合商社くらいしか知らなかった。
年収1000万円越えは夢のような話
年収1000万円越えにあこがれて、四季報なんかをみたことがある。
だいたい300万円とか400万円とかで、有名メーカーでも700〜800万円。
平均年収が1000万円を越える会社もあったけど、営業ノルマがきつそうなメガバンクやら大手証券会社やら、寝られないと噂の広告代理店とか。
私立の大学職員は、ノルマもなさそうだし、寝ずに深夜まで接待というのも想像できない。
教授の秘書的な役割になったら、寝られないのだろうか。
教授ですら、年収2000万円ももらってないだろうから、秘書で1000万円というのはバランスが悪い
国立大学職員の武器は退職金・福利厚生
国立大学職員の給料は、国家公務員の給料にある程度準拠しているみたい。
2000年過ぎまで、国家公務員として働いていた人が切り離されて、国立大学で働いている。
大きく給料の差が出たら、不満が出るので、もともとの給料体系を大きくはくずせない。
国家公務員2種だと、出世して50歳くらいで年収1000万円になることがあるのだろうか。
年収自体はそんなに魅力がなくても、退職金や福利厚生は武器だ。
なんてったって元公務員ですから。
普通に働いていれば、2000万円くらいもらえるらしい。
有り難いですね。
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大学職員の魅力の1つ 教員の専門分野に詳しくなることも
大学職員として仕事をしていてよかったことの1つに教員の専門分野に詳しくなるということがあります。
学部の事務は教授と近くで仕事ができる。
大学職員が勤務する場所として、総務部や経理部などの本部・管理部門と学部事務があります。
学部事務では大学本部からの依頼を教員に伝え、より教員に近いところで書類の受付や教員の各種手続きのサポートを行っています。
大学教授から書類などについて質問を受けることがあり、飲みに行ったり、雑談をすることも多いです。
専門家の最先端の見識を得ることができる。
僕の先輩で農学部の事務をやっていた先輩は昆虫学の先生と仲良くなっていろんな相談をしたと言っていました。
実家の床下に蟻のような変な虫がいたと相談したら、「それは〇〇ムシですね。シロアリとは違うので、ほっといて大丈夫ですよ。」と回答をもらったそうです。
ネットでは調べづらく、また、真偽がわからないことも近場の専門家の意見をもらえるのはありがたいことです。
理系の全然自分が関係なさそうな分野でも日常生活に関係することがあったりします。また、先生も自分の専門を頼ってくれることは嬉しいです。
博物館などの招待券がもらえることも
また、先生は博物館や科学館などで講演などをやることもあり、招待券をもらえることがあります。
もしくは、学会の情報を得られたり、大学で学会が開催されることもあります。
そこで、専門的な情報を得られるのは面白いです。
普通にサラリーマン生活を送っていると中々得られない情報を得られるのは大学職員ならではです。
その道の専門家と話ができたり、関連する施設の入場券などをもらえるので、自分の興味が広がっていく感覚はあります。
大学職員になって初めてやった投票事務という仕事
大学職員になって、初めて聞いた言葉、初めての仕事はたくさんありますが、「投票」を行っていることを初めて知りました。
「投票」は教員の採用や学部長の選任など重要な人事関係の判定で行われます。民主主義が行われているのだと感じました。
大学の重要な仕事は民主主義
以前、大学では会議が増え続ける一方だという話をしました。国からの交付金を受けている大学は「利益」のためだけになってはあらず、国民のため、また公平な事業を求められます。
なので、特定の業者を中心に利用することは禁止されており、一定以上の支出を伴う場合は「入札」で最安額を入札した人が請け負うことになります。
同様に、重要な人事を数人の上司の判断で決定することはできません。投票を行うことが「規程」で決まっています。全ての大学でそうとは限りませんが、重要な事項は入札や投票を行います。国立大学の場合はなおさらその傾向が強いです。
投票のメリット、デメリット
投票のいいところは公平に1人1票で判定できることです。これにより、「上司に気に入られる」というだけで要職につくことは難しいです。然るべき教育・研究実績を上げた上で、人柄もよい人が早く出世していきます。
一方で、投票には煩わしいところもあります。緊急事態宣言中でも重要な人事があれば、投票に来なければなりませんでした。
また、複数の候補者から選出する場合の投票は重要ですが、1名の候補者の「採否」を決定する場合には基本的には否決されることはほぼありませんから「時間の無駄」という人もいます。
ちなみに、開票作業を行うのは楽しいです。数十人の投票なので、数分で終わります。
大学職員の忙しさも文系と理系で異なる
大学職員として仕事をしていて気づいたことの一つに文系理系で仕事の違いです。
大学生時代から文系と理系は大きく違うものでした。私のイメージですが。
文系・・・単位を取るのは簡単。サークルやバイトを中心に大学生活を謳歌
理系・・・予習復習をしないと単位が取れない。
研究室配属以降はバイトできる時間も少ない。多くが大学院に進学
全ての学生がこのようになるわけではないですが、世間の意見も近いと思います。
教員や職員の仕事も近いものがあると思います。
文系学部の大学職員
そもそも学生や教員が大学にいる時間が相対的に少ないです。当然、授業準備やシラバスの作成などを行いますが、理系に比べて簡単なことが多いです。
学部内の会議や勤怠管理はもちろん行いますので、業務数はありますが、少人数の職員で多くの先生のサポートをするというイメージです。
理系学部の大学職員
単純に文系学部の仕事よりもやる業務量が多くなります。先生も常に研究室にいるか授業の担当をしており、多くのサポートを依頼されます。
その他、文系にはない業務もあります。
・実験室の利用申請と施設確認対応など
・人体や生物に係る研究は事前に研究内容の妥当性を審査委員会に諮る
・夜間勤務・休日出勤のための勤怠管理
(医学部などは顕著ですが、日をまたいで実験をしていることも多いです。)
さらに、理系のほうが企業等から研究費をもらいやすいです。多額の研究費を扱うため、実験機器の購入や学会出張も多くなります。
文系が理系より楽というイメージは大学職員にも言えることだと思います。