大学職員の仕事は内輪向きな仕事
大学職員の仕事は内輪(うちわ)向きな仕事だと思います。大学職員が関わる相手の8割は大学生(大学院生)と大学教員です。
内輪にむけた仕事だから、「楽」だとか「ホワイト」だとか言われるのかもしれません。
内輪向けの仕事はなぜ簡単なのか?
多くの社会人は外向きの固定ではない顧客の相手をしています。
・コンビニ定員
誰でも来ることが出来ますし、店に来た客を断ることはできません。
・お菓子の営業職
いろんな店に営業しなければなりません。買ってもらえそうなところを日々探さなければいけません。
内輪であれば、お互いに長い間、同じ組織に属することを理解していますから無下な扱いはできませんし、不特定多数の人を相手にするわけではありません。
また、内輪の相手も大学生と大学教員です。多くの大学生は倫理観があり、礼儀も正しいです。理不尽なことを言ってくる学生さんはほとんどいません。
大学教員には癖がある人もいますが、「教育者」ですから人格者がほとんどです。
そう考えると、無理な要求を受けることもなく、倫理観が高い人たちで構成される職場はいい職場、「ホワイトな職場」と言えるかもしれません。
大学職員が関わる外部の人達
残り2割は下記のような人たちです。
・オープンキャンパスに来る大学生
・設備工事や実験器具等を扱う業者
・大学へのクレーマー
基本的には大学へ好感を持っている方が多いと思います。一部、公的機関の大学に対して、「学生の生活」や「学生が起こした事件」に対してクレームを寄せる人もいますが、ごく一部だと思います。
恵まれた環境だと思います。
施設を使い放題なのが大学職員の魅力
大学という場所を「勤務地」にできるのが「大学職員」に1つの魅力だと思います。普通にサラリーマンになると、多くはオフィスビルでの勤務です。
みんなスーツを着て仕事をしています。
大学であれば、カジュアルな服装の教員と髪型や服装まで派手だったり、常に運動部のジャージを来ている学生もいます。
普通の職場とは明らかに雰囲気が違います。大学の広いキャンパス内で仕事ができ、業務外には施設が利用できるのも魅力です。
図書館
市民に開放している大学もありますが、基本的には学生と教職員のみが利用できます。市民図書館は受験勉強の学生で混んでいますが、大学の図書館は満席になることはほぼありません。
雑誌や新書を借りることもできます。
また、夜遅くまでやっているのも魅力ですね。試験勉強をするときの助けになります。
運動施設
体育館や運動場、トレーニングジムも基本的には無料で使えます。学生がサークルや部活動で専有している時間もありますが、職員の福利厚生で利用できる時間もあります。
私の友人(私とは別の大学ですが)は昼休みにプールで泳いでいるらしいです。笑
(夏は常にプールに水をはっているらしいです。)
学食
社食がある会社もあると思いますが、大学とは雰囲気が違います。仕事の休憩ではなく、ただだらけているだけの学生もおり、独特の時間が流れています。
食事をとるのにリーズナブルですし、若い空気感にいられることも貴重だと感じます。
大学職員は完全な土日休み?
大学職員は基本的にカレンダー通りに休みが取れます。ただし、入試などで土日も出勤しないことがあります。
管理部署は基本はカレンダー通り
会計担当や総務担当は特別なことがなければカレンダー通りに休めます。お盆期間は夏季休暇としている大学も多く、世間が休みなときは大学職員も休みと考えていいでしょう。
年末年始もゴールデンウイークもカレンダー通り休みになります。
ただし、大学にとってメインイベントの「入試」のときは多くの職員が出勤となります。センター試験は土日ですが、一般入試は平日に行われることが多いです。
入試担当だけでなく、管理部門からも駆り出されることが多いです。
入試以外に土日出勤が必要なケース
多くの職員が土日出勤になるのは「入試」くらいですが、部署によってはそれ以外にも土日出勤になることがあります。
・オープンキャンパスや大学説明会
説明会などは入試・広報担当の一部の職員と説明を行う教員のみで行われることが多いです。
・工事、システム改修の立会い
大学内の工事やシステム改修は出勤者数の少ない休日に行われることが多いです。大学職員の担当者も立会います。
・大学施設貸し出しの立会い
体育館を学生や市民に貸し出したり、各種検定試験の会場として大学の教室を貸し出すことがあります。これにも一部職員が立会います。
自主的に土日に出勤しているケースも
基本的には土日休みですが、年度末の3月は学生窓口担当や会計担当で業務が多くなり、自主的に土日に出勤しているケースもあります。
また、理系の先生は土日も大学で実験をしているケースが多いので、それに併せて先生のために出勤しているケースもあるようです。
大学職員は規則・規程の通り仕事をしている
大学職員は「無能」だとか、「つかえない」という指摘をうけることが多いです。
職員にやる気がないと感じることも多いのですが、無能と思われている1つの理由に規程に則って仕事をしているということがあげられると思います。
公務員と同じくルールに則って仕事をしている。
公務員も「無能」と言われることがあります。その1つの要素に「杓子定規」な考え方というものがあります。
公務員は法律や規則に従って仕事をしています。税金を使って公務を行っているので、規則から外れた「例外」な仕事を行ってはいけません。
法律に詳しくなって、ルールに従って業務をこなすのが公務員です。
・1分遅れただけなのに受け付けてくれない。
・柔軟な対応をせずに、全て上司に確認する。
・市民のためになることでも、ルールで定まっていなければ行わない。
このようなことから、「無能」だと言われることが多いのだと思います。
民間企業であれば、「利益になり」「お客様のためになる」のであれば、現場判断で決定できることも多いです。
大学と規則の関係性
「大学」は文部科学省から認可を受けて「大学」として存在しています。
認可を受けるためには「学則」や「学位授与規則」などを文面に定める必要があります。その規則に従って業務を行うのが「大学職員」です。
さらに、国立大学であれば、細かい規則がたくさんあります。私立大学より多くの税金が投入されているので当然といえば当然ですが。
「東京大学 規程」などと検索すると公開されている規程を見ることができます。
大学職員で学生対応をするのは3割程度
大学職員というと、学生相談の窓口の職員を想像すると思います。
しかし、実際には学生対応関係の部署に配属されている大学職員は全体の3割程度です。
学生対応と経理・会計と総務・人事
大学職員の部署は主に3つに分かれます。
学生サービスの部署、会計関係の部署、総務関係の部署です。
普通の会社と一緒で、営業部の他に会計を担当する管理部門と総務・人事を担当する管理部門があります。
大学における営業部(メインとなるサービスを提供するの)は教員です。研究実績や教育能力を学生に提供しています。
それをサポートするのが大学職員です。
営業部の多くは教員で、営業部のサポート的な役割を行うのが学生サービス部署です。
さらに管理部門の経理課、総務人事課があるというイメージです。
学生対応部署の仕事は?
学生対応部署では、各種証明書の発行や生活相談、履修相談、就職相談などを行っています。
専門的な相談は教員でも行いますが、学生対応部署でも相談を受けられる体制をとってます。
特に、日本での生活に不慣れな留学生への生活サポートや奨学金の申請、時間割変更のお知らせなど、教員ですべてを行うことが難しいことについて、サポートを行っています。
教員と学生をつなぐイメージです。
研究室に配属されれば、指導教員が面倒を見ることが決まりますが、配属前の低学年学生や文系の学生は学生対応部署に相談をすることも多いように思います。
学生が休みの時期でも職員に仕事はある。
よく質問があるのが、学生が休みの時期に仕事はあるの?ということ。
多少、仕事量は減りますが、職員は学生の休み期間にも出勤しています。
成績判定・入試・就職情報の整理・サークル活動のための施設貸し出しなど、「大学生の休暇期間中」にも裏で動いている仕事はあります。
むしろ、休暇期間中で学生が少ない時期に「オープンキャンパス」や「入試」などの日程が組まれることが多く、その準備等で仕事はあります。
大学生と同じ期間が休みになるわけではないので、悪しからず。
客員教授ってなに?大学の先生なの?
ワイドショーなどを見ていると「客員教授」や「客員研究員」がコメントをしていることがあります。私も大学職員になるまでは「客員(きゃくいん)」のことをよく知りませんでしたが、事情がよくわかりましたので、紹介します。
客員とは?
客員(きゃくいん)は簡単に言うと「招かれた」という意味です。早稲田大学の客員教授は早稲田大学に招かれた教授ということです。役職が研究員相当であれば、「客員研究員」となります。
実際には早稲田大学の教授と同じように授業をやったり、早稲田大学の研究施設を使って研究をしたりすることができるのですが、「無給」なのが普通の教授とは違うところです。
客員教授になるメリットは
大学教授は通常、年収1000万円を超える高給取りの仕事です。無給で授業や研究を行う「客員教授」になるメリットはなんなのでしょうか?
1番は「格がつく」ということです。「早稲田大学の客員教授」という肩書があるだけで発言に説得力があります。ワイドショーで「専門家」としてでるよりも、「早稲田大学・客員教授」として出たほうが確実に説得力があります。
その「肩書」がほしくて、無給で共同研究や授業を行う「客員教授」になるのです。
客員にはどうやったらなれる?
だれでも客員教授になれるわけではありません。大学側にもメリットがある人を客員教授にします。
研究実績がある研究者や専門家であれば、その方を目当てに入学者が増える可能性がありますし、よりよい教育の提供が期待できます。
大学と専門家、双方にメリットがあって「客員教授」になるのですが、一部では「多額の寄寄附金」や「関係者とのコネ」を使った「客員」もあるようです。
大学では会議が多い。設営は事務職員の仕事
大学の先生は毎日のようになにかしらの会議に参加しています。
世間の風潮は「無駄な会議は減らす」。効率的に仕事を行うことが重視されていると思います。一方で、大学の先生は会議が減るどころか増えています。
新型コロナウイルスの影響で会議がオンラインになることはあっても、開かれないということは基本的にありません。
大学にはどんな会議がある?
・教授会
・入試委員会
・経営会議
代表的なものにこんなものがあります。1人で5つほどの会議に所属していることが多いです。
1番わかりやすいのが教授会です。学部の教授が集まる会議です。月に1回教授が集まり、学部の方針に関わる事項を話し合います。基本的にはより小さな会議体(入試委員会など)でスケジュール案などを作成し、大きな会議体(教授会など)で承認するという流れになることが多いです。
大きな会議体をスムーズに行うために、多くの小さな会議体ができ、結果として多くの会議に参加することになります。
学部単位で教授会を中心にした会議体があり、さらに学部をまたいだ大学全体の会議もあり、会議は増える一方です。
大学の会議が減らないのはなぜ?
大学は私立大学も国立大学も国の税金が一部入って運営されています。
そこで不正(裏口入学など)が行われると「税金を無駄使いするな!」と言われてしまいます。
公的なお金が入っている以上、複数の人間で確認して物事を決定しなければなりません。1人にすべての決定権があれば、容易に不正が行われてしまいます。
適切にお金を使い、適切に組織を運営するために複数で決定する「会議」は大学では欠かすことができないのです。